市立病院の民営化(小説「首長パンチ」)

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佐賀県の武雄市長が書いた「首長パンチ」を読んだ。

以前、本屋で見かけたときは「最年少市長GABBA奮戦記」というサブタイトルだけで萎えて手に取りもしなかったのだが、ぱらっと目次を読んだら「第四章 医師会というパンドラの箱」という文字が目に入ってきた。そう。これって、タイトルですごく損をしている本なのだ。内容的には、「医師会パンチ 〜医師会との壮絶なる戦い〜」ではないか。

前段はやや退屈。現職市長ということもあって、自分はさも「できない子」みたいな風に書いているのも残念。そんな謙遜は話を長引かせるだけだ。

ところが、中盤、市長に当選して市立病院の経営問題を認識したあたりから、まるで「巻き込まれ型バイオレンス映画」のように話はぐっと面白くなる。読みやすくする意図からか、会話文を多く挟んであることで、切迫感にはやや欠けるものの、それでもドキュメンタリーとして読み応えは十分。医師会特有の「困ったちゃん」な面をほぼ実名入りでストレートに描いているのが清々しい。

それにしても、地方で市立病院を民営化するって並大抵のことではない。本書にも出て来るように、地元医師会が「自分の患者を取られるかもしれないから」、もしくは「ヨソモノに自分の領土を荒らされたくないから」という理由で反対することが目に見えているからだ。医師会は保健業務を担っているだけに、首長としては敵に回していいことなど、何ひとつない。「巻き込まれ型」とはいえ、最終的には民営化を成し遂げた樋渡市長は、それだけで尊敬に値する。拍手。

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[memo]
・朝2便で東京。
・機内で「首長パンチ」★★★★読了。
・TJにて打合せ。R社にて打合せ(岐阜県、佐賀県も)。
・赤坂の飲み会に合流。TJのG,G,Mに、Y、Y。2次会は三田製麺所。

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