撮りだめていた「コードブルー(フジテレビ)」を、後追いで見て、ようやく放映に追いついたと思ったら、来週(木曜日)はもう最終回である。早いなあ。
テレビ画面の中ではちょっとわかりにくいかもしれないが、このドラマの映像は、徹底したこだわりでつくられている。ぼくが見た限り、CGシーンはほとんどない。現場への離発着シーンから、飛行シーンまで、オールロケ(しかもかなりマニアックな視点)で撮影されている。
たとえば、
1)医師の表情を窓越しに写し
2)そのままふわりと浮き上がりつつズームアウト
3)機体の全体をとらえ飛び立っていくシーン
...という流れも、1)、2)、3)とカット割りしたって、それなりにリズムよく迫力のあるシーンとなるのに、ノーカットの長まわしにこだわる。さらには一瞬浮かび上がったヘリが、その場でクルリと反転し、前傾でぐあっとテイクオフする、みたいな、「マニアもびっくり」な絵づくりをしたりする。
それだけ「凝った絵」を撮るには、たった数秒であっても、航空法や経費上の問題など、相当な課題をクリアしなくてはならない。たぶんこれは、ロケ地の医療関係者(日本医大付属千葉北総病院)と、ヘリの運航者(朝日航洋)がノリノリでサポートしているからできることなのだろう。
ま、シナリオの方は、かなりな「御都合主義」ではあるけど、日本における「ドクターヘリ」の普及促進にも繋がりそうな内容だけに、このぐらいヒロイックな面があってもいいのかもしれない。山P、ギバチャン、素敵過ぎ。
それにしても、第10回(〜最終回)には、ヘリマニアなぼくも、唸った。日本の映画/ドラマ史上初の試みがなされているのだ。それは、"高速道路上にヘリが着陸する"というシーンがあるのだ。
日本では、2次災害防止の観点から、道路上へのヘリの着陸は認められていない(高速道も然り)。仮に高速道路上で大事故があっても、原則は救急車で救助に向かうことになっている。国土交通省がパーキングエリアの一部に「着陸帯」を設置しはじめつつあるが、あくまでも道路ではない部分に限定なのである。
海外に目を転じると、道路への着陸を可としている国もある。例えば、アウトバーンでの事故が多いドイツなどでは、日常的にヘリが直接現場(道路)に降りて救助活動を行う。日本でも道路上で救急車が近づいてきたら道をゆずる...ということがルール化されているように、ドイツでは「道路上では救急ヘリが最優先」ということがきちんと国民に根付いているのだろう。
さて。では「コードブルー」はどうやって「道路への着陸シーン」を撮影しえたのか。
これは、「開通直前の高速道路」で撮影しているのだ。とにかく道路がとてもキレイ。まるでまだ誰も使ってないかのように。あと、決定的なのは両脇の柵がない(できてない)(笑)。つまり、開通前の道路=「ただの工事現場」であるから、航空法上の場外離着陸上申請さえすればよいのだ。
それにしたって、このロケ現場はすごい。単なる高速道路ではなく、かなり高さのある橋梁上で、しかも、すぐそこにトンネルの入口がある。俯瞰の映像はかなりの迫力だった。「大規模災害の現場」としてこれほどのロケ地はないだろう。しかも、山Pに演技させた映像を上空からおさえている。すごい。
そもそも、道路というのは、構造をつくるのに時間とお金がかかるのであって、舗装は最後の最後に仕上げとして行われる。つまり、限られた撮影期間中に、「開通直前の高速道路」に出会えたスタッフは、超ラッキーということだ。ま、これで「柵」までできていれば完璧だったのだが(笑)
いやはや、運にも見守られた「コードブルー」。是非、しっかりしたシナリオを練って、シーズン2もお願いしたいと思ふ。
<memo>
・家人は運動会で土日返上。子供らと部屋の大掃除。
・床屋。ハナ社長も。
・夕方、ベッドが届く。