阪本順治監督の「闇の子供たち」を見た。
先に原作を読んで、どうにもこうにも気持ちの持っていきようのなさを感じていたところだったので、この映画を見ることによって、なんとかその「もやっ」とした気分にケリを付けようと思ったんであった。
が。うーんと。ますます困ってしまった。
ストーリーが多少変えてあることや、重要な「幼児虐待」のシーンが、まったく迫力にかける(リアリティが足りない)のは、しょうがないとしても、この「ラスト」はこれでいいのかな。「救い」があっていいのか。
もちろん、「こういうラストにしかできなかった」阪本監督の気持ちもわからなくはない。原作のテイストのままでは、たぶん商業映画としては成立しない。ノンフィクションではないのだから、「物語の筋道」や「救済」が必要だったのだろう。
日本人を軸に据えた、という視点の変換も理解はできる。これだけディープでセンシティブな物語を、江口、宮崎、妻夫木で撮るということ、つまり「日本人により伝わりやすい物語」という方向性へ大きく「振った」ということなのだろう。
でも、「理解できる」ことと、「納得する」ことはイコールではない。これでいいのか。
まあ、とはいえ、ぼくにとっては、「文字で追いかけた」原作とは随分違ったものであったとしても、タイでロケーションし、リアルな街のなかで物語が進行するという「物語のビジュアル化」がなされたことにより、「闇の子供たち」が、より深く心に刻まれる結果となった。
それだけでもこの映画を見た甲斐は十二分にある。
<memo>
・FT社関係資料、予算関係資料など
・「地域ブランド成功法則33」、「グラフィックデザイン Illustrator&Photoshop」、
「Design Basic Book」購入。
・「闇の子供たち」★★★★★。阪本監督なりに、キチンとこの物語を撮ったこと。そこに大きな意味がある。
コメントする