「私たちは繁殖している」シリーズ

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これは、内田春菊の子育て漫画...の仮面をかぶった「男たちとの骨肉の争い的大河ドラマシリーズ」である。

「子育て」の日常というものは、些事末節に振り回されることがほとんどで、何ら「事件」というものは起きないもの、である。しかし、実際には、些細なエピソードこそが、子育ての喜びであったり、醍醐味であったりする。

そんな微笑ましいストーリーが満載なのだが、なぜかその合間合間に、どろどろとした家庭内のいざこざが挿入され、読者は「ドキリ」とさせられる。いや、ドキリでなくて「うんざり」か。何もそこまで罵倒せんでも...。それでも、さすがの「筆力」があるのでついつい読んでしまうのが本シリーズなのだ。

文庫版の最新刊「バトル」では、舅への不満がきっかけとなり、ついに、あれほど仲のよかった夫・ユーヤ氏に対する不満が散見され始める。うお、ついにらぶらぶ夫婦に決裂の危機が。内田春菊家大河ドラマ。

このシリーズで描かれる内田春菊の言い分は、とても論理的であって、至極真っ当な主張、に思える。舅は、一見いい人であっても、その実、とても身勝手で自分のことしか考えていないジコチュウな男、に思える。ユーヤもユーヤで、これまで徹底して妻を庇ってきたのが嘘のように、親の前では無力化されてしまっている、ように思える。

つまり、このシリーズで語られる罵詈雑言は、あくまで片方(春菊側)の言い分なのである。舅に反論の機会は与えられないのだ。それを単行本、文庫本にして、一方的に罵倒するのはどうなんだろ。読者だって、「ほとんどノンフィクション」だと思って読んでいるわけだし。一方的な罵倒は、一方的な暴力でしかなく、「情報発信力」という強い「権力」を持った者の、ある種の傲慢さを感じてしまう。

そんな本、読まなきゃいいじゃねえか、という話なのだが、そこがさすがの「筆力」なんだってば。超おもしれえ。(つか、そういう下世話な話が好きなだけじゃねえの>自分)。

<memo>
・「いらつく二人/三谷幸喜・清水ミチコ」★★★。素敵な便所本。ラジオを聞いているように読めるというのは素晴らしい。つか、この番組聞いてみたい(J-WAVE)。
・FT社問題をH課に説明。上京の日程調整など。
・物産、観光連絡会議。飲み会も。「たかさご」

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このページは、kaishindouが2008年11月 6日 21:56に書いたブログ記事です。

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