丹下健三vs磯崎新による「戦後日本最大のコンペ」(副題)を描いたドキュメンタリー。あの、いかにも「都庁然」とした格式張った丹下デザインに、真っ向から挑む幾何学的な磯崎デザインがとても魅力的だ。
てっきり丹下=権威の象徴=悪、磯崎=チャレンジャー=善、という図式なのかと思ったが、ことはそう単純ではなかった。単に「コンペ」そのものではなく、コンペに提出された「案」に至る二人の軌跡を丹念に追っていく著者の視点が面白い。歴史のなかで錯綜する師(丹下)と弟子(磯崎)の関係のなんと業の深いことか。
建築というのは、その中で暮らす(過ごす)ヒトビトの意識まで変える力がある。今、新しい家に住み、そういう実感を持って日々過ごしている中で、この本はとても刺激的だった。磯崎新の「都庁」が建っていたとしたら(まあそれはあり得なかったことだとしても)、と想像するととても愉快な気持ちになる。きっと都庁職員の意識はもっとアグレッシブだったろうし、青島幸夫や石原慎太郎も、もっとイキイキしてたような気がする。
あと、磯崎都庁が建っていたなら、丹下フジテレビはあの形ではあり得なかったわけで、それはそれで「どんなフジテレビがあり得たんだろう」と考えるのも愉快だ。
・家人と子供らが学校の奉仕作業に行っている間に、Run22km。今期最長。途中までいい感じだったけれど、とにかく疲れた。
・「サラリーマン合気道/箭内道彦(幻冬社)」★★★。意外とまともなことばかり書いてある。見た目とのギャップで随分得している感。
・昼飯後、昼寝。
・夕方M女史宅へ。新築祝い(柳宗理のボウル+ザルのセット)。
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