海森殿堂 2003.4月ノミネート作品


4/7 唇のあとに続くすべてのこと/永井するみ(光文社) ★★★★☆
珍しくジャケット買いをしたら(タイトルもよかったし)大当たり。エッチくさくて、ちょいサスペンスで、ラストも、おお、大人じゃーんな感じでグー。物語に起伏が少ないし、そのわりにトートツな展開もあるあし、多少リズムも悪いんだけど、ぐぃぃぃっと読ませられたわよー。「もうけもん」な気分なので★を1個おまけ。
4/10 キャラクター小説の作り方/大塚英志(講談社現代新書) ★★★★
キャラクター小説とは「スニーカー文庫のような小説」。いわゆる「趣味は読書」というヒトビト(ぼくも含めて)から蔑視されているこの分野こそが、もっとも新しい可能性をもっているのかもしれない、という気になってきた。なるほどねー。思わず、「オレも小説書いてみようかしらー」と思ってしまったところが、作者の思う壺だわね。
4/11 It's Only a Talkshow/中島らも・鮫肌文殊
(メディア・ファクトリー)
★★☆
ムッシュかまやつとか、野坂昭如とか、ゲスト自体が結構壊れているのに、そのヒトたちが極めて真っ当に見えるほど、人格崩壊している中島らも御大。いつものように、「意図的」に壊れてる感じじゃないのが、マジでちょっと心配。クスリをやってもいいから、真っ当になってくれ。
4/13 焼酎ぐるぐる/大田垣晴子(ワニブックス) ★★★
単に九州の酒蔵回って、温泉入ってきて、楽しゅうございました、というだけの本だけど、すっとぼけたイラストに救われている。つーか、それがいいんだよなあオオタガキの本は。しかも、テキトーに酒蔵を選んでいるようでいて、宮崎の酒蔵は、岩倉と京屋である。実にしぶいチョイスでねえの。ああ、焼酎が飲みたくなってきた(思う壺)。
4/13 戦争報道/武田徹(ちくま新書) ★★★★
小さな事象の積み上げから、大きな流れを読み取るというのは、根気と、強い信念がなければできない作業だ。それを淡々とこなすって、単純にすげえと思う。それでいて、著者は常に自分の立ち居地をマス・ジャーナリスズムの「外側」に置いておこうとする慎重さも持ち合わせている。その姿勢だけでも信頼に足る。
4/18 ブッシュの戦争/ボブ・ウッドワード(日本経済新聞社) ★★
読みながら、とてもこれが「大国アメリカ」のお話とはとても思えなかった。まるでハリウッド映画。しかもB級の。ま、この程度が結構実像なのかもな。それより、小説とルポルタージュの中途半端な融合みたいな構成が馴染めなくって、途中で100回ぐらい挫折しそうになった。戦時内閣の意志決定過程を目の前で見たかのように書く(小説風?)のはいいーけど、作者の意見のようなもの(ルポ?)が間に入ると、「うざい」。分析も解析もないし。定価2,300円だから我慢して読んだ。なーんでこれがベストセラーなの?
4/25 戦争倫理学/加藤尚武(ちくま新書) ★★★★☆
戦争について、平和について、非常にわかりやすく解説。目からウロコ。「戦争」について、自分の立ち位置を確認するのに絶好の1冊。人間ってえのは、自分も含めて、ホントに業が深い生き物だっていう気になってやんなっちゃうわよー。んでも、「だからこそがんばんべー」という気にもなるってもんであってね。無力感に苛まれている今こそ、もう一度しっかりと立ち上がる力が必要だと思うんだわ。まあ、またブッシュはやるんだろうけどもね。それでもね。
4/29 永遠の出口/森絵都(集英社) ★★★★★
少年・少女期を描かせたら天下一品の著者であるが、今回は「その先」をさらりと描いた。細部をキッチリ書き込むことで世界観を確立するのが、今の世の中の流れだと思うけれど、この人、結構「ざっくり」と切り取るのよね。その「隙間」のようなものに、自分の「思い出」を継ぎ足して読んでいくような感覚があって、なんかちょっとタマンナイ気分になった。
4/29 かえっていく場所/椎名誠(集英社) ★★★☆
一時期あれほど入れ込んだシーナマコトなのに、最近は、ほとんど読まなくなったし、読んでもあまり感銘を受けなくもなってきている。ある意味「飽きた」んだよね。大作家先生的感覚に染まってきているのも嫌だ。それでも、これは久々によかった。シーナの、「岳物語」、「海ちゃん、おはよう」、「ハマボウフウの花や風」といった、家族私小説シリーズは、読者にとってはいわば”連作”なんだと気が付いた。大河ドラマの「後半戦」を読んでいるような気分。
4/30 ミッケ!(小学館) ★★★
絵本というより、ゲーム本。楽しい。気分転換にグーだわよ。

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