チック・コリアが聴きたくて

JAZZ100本ノック





(7本目) SOMETHIN' ELSE / Cannonball Adderley

キャノンボール・アダレイ(as)、マイルス・デイビス(tp)、ハンク・ジョーンズ(p)、サム・ジョーンズ(b)、アート・ブレイキー(ds)

1曲目「枯葉」にて、ズンドコな感じの?渋い前奏に続くマイルスの「パペパポッ!」でガツンと心を鷲掴みにされる。かっくいーな、マイルス。本作がJAZZビギナー用にも、と言われる所以は、この4音に集約されている気がする。凄い。

3曲目のタイトル曲は、いきなりヘビィなマイルスがずんずんとリードを引っ張って素晴らしくかっちょいいし、スローなテンポで熱いプレイの4曲目、5曲目も、すげえんだけれど、実は一番好きなのは2曲目「Love for sale」だったりもする。

華やかなピアノソロに始まり、打楽器が主人公の登場が近いことを告げる。そしてマイルスのトランペットが満を持して登場、といった趣がたまりませんな。前半を務めるキャノンボール・アダレイの熱いソロ、そして後半も後半になって、ようやく渋〜いマイルスがやってくる。ぬおー、完璧な構成かも。

(6本目) GETZ/GILBERTO / Stan Getz / Joao Gilberto

スタン・ゲッツ(ts)、ジョアン・ジルベルト(g, vo)、アストラッド・ジルベルト(vo)、アントニオ・カルロス・ジョビン(p)、
トミー・ウィリアムス(b)、ミルトン・バナナ(ds)


5本目の「SWEET RAIN」を聴いていて、なんか聞き覚えがある曲があるなあ、と思っていたら、7曲目の「オ・グランジ・アモール」だった。ボーカルが入っているというのもあるけれど、もはや全然別の曲。
ドリフの「誰かさんと誰かさん」と「故郷の空(元歌)」ぐらい別の曲。面白いなあ。

その「オ・グランジ・アモール」のサックスは、タメといい、音の抜けといい、ため息がでるようなかっこよさですげえ好き。かっちょええ、とか好き、という言葉でしか表現できないのがもどかしいが、ホントにそうなんだもんよ。

それと言わずもがなの1曲目。男女のボーカルの対比、言語の対比、サックスやピアノソロの対比など、5分ちょっとの中に聴き所満載である。

(5本目) SWEET RAIN / Stan Getz
スタン・ゲッツ(ts),チック・コリア(p),ロン・カーター(b),グラディ・テイト(ds)

鬼コーチご推奨。このアダルティなジャケットがたまらん好きなのだが、名盤つーのは、ジャケのデザインも素晴らしいものなのね。

タイトルのように、甘く煙るような「音の雨」に身をおくと、極上のリラクゼーション空間が広がる感じである。ゲッツのサックスが、太い屋台骨のようにクールに全編を貫き、チック・コリアのシャープな切れ味のピアノが彩りを添える。

サックス、ピアノ、ベース、ドラムの4者が中盤当たりからがっぷりよつに激しく絡む1曲目、ボサノバを、アップテンポに仕上げてクールな味わいとなった2曲目、チック・コリアの変幻自在なソロがかっちょいい5曲目なんぞが特に好き。

(4本目) HOUSE ON HILL / Brad Mehldau Trio

ブラッド・メルドー(p)、ラリー・グレナディア(b)、ホルヘ・ロッシ(dr)

うーん。鬼コーチのサイトで随分前にみたジャケット(単純だけれど実に繊細なデザインである)の記憶だけを頼りに買い求めたのだが、いやあ、何だか難易度高いぞ。

とにかく、全編に”理系的”な香りが漂い、繊細で緻密な音の数々に圧倒される。曲の端々に、思いもかけない「曲の寄り道」みたいなパートが立ち上がり、複雑な「うねり」を引き起こす。それが、聴くモノにピリッとした緊張を強いる。聴いていて背筋が伸びてくる感じ。耳が釘付けとなる。歩き通勤で聴いているのだけれど、ついつい歩行のペースが落ちて、今週は毎日のように遅刻しそうになった。

トリオ(ピアノ、ベース、ドラムス)で、こんなに緻密かつ壮大な世界観が描けるという凄さ。これから、何度も何度も聴いていきたいアルバムである。


(3本目) RELAXIN' / Miles Davis Quintet

マイルス・デイビス(tp) / ジョン・コルトレーン(ts) / レッド・ガーランド(p) / ポール・チェンバース(b) / フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)

マイルス・デイビスの初期の名盤(らしい)。これがまあ、なんと素直に耳に入ってくるのか。これを聴いていた1週間、やや精神的に疲れていたせいか、アルバムタイトルにあるように、ゆるやかな演奏が気持ちいい。

なんというか、いわゆる素人であるぼくが「JAZZ」とイメージするよな曲が目白押し。客席が100席にも満たない小さなライブハウスで、ハイボールでも飲みながら聴きたい感じである。めったに吸わない煙草もくゆらせたい。

意外なのが、コルトレーンのテナー・サックス。バンマスでもないのに、こんなに吹くものなんだなあ、という発見。曲にもよるけど、中盤はずっとサックスの独壇場だったりする。面白いなあ。

(2本目) NOW HE SINGS,NOW HESOBS / Chick Corea
チック・コリア(p)、ミロスラフ・ヴィトウス(b)、ロイ・ヘインズ(ds)

今週のジャズマラソンの課題CDは、チックコリアが生ピアノを弾いてるヤツをチョイス。うむ。これはすごくいい。

ピアノの音、というだけでこれほど耳が素直になるものなのだろうか。軽快なピアノの”弾み”に抗うことなく、翻弄されているのが心地よい。ベースもドラムスもピアノの引き立て役に徹しているので、聴く方に迷いがないからか。

とはいえ、1曲1曲が複雑な構造で一筋縄ではいかない。後半に進むにつれ、迷宮の度合いがさらに複雑化していく印象。そういった意味で、2曲目の「matrix」が本筋を見失うことがなくて、素直に聴ける。


(1本目)  BITCHES BREW / Miles Davis

マイルス・デイビス(tp)、ウエイン・ショーター(ss)、ペニー・モウビン(bcl)、ジョン・マクラフリン(elg)、ジョー・ザヴィヌル(elp)、チック・コリア(elp)、ラリー・ヤング(elp)、デイヴ・ホランド(b)、ハーヴィー・ブルックス(elb)、レニー・ホワイト(ds)、ジャック・デジョネット(ds)、ドン・アライアス(per)、ジム・ライリー(per)

マイルス・デイビスのまさに「名盤中の名盤」と呼ばれる「Bitches Brew」。とことんクールな音を紡ぎ出すマイルスが「ちょーかっちょえー!」と素直に思ったんだけども、よくよく考えたら、結構「わけわからん」度の高そうな曲が多い。1枚目なんてメロディというより、フレーズの断片が千々に切れ飛ぶような印象である。2枚目の「スパニッシュ・キー」は怒濤の迫力で圧巻ではあるが、特に主旋律みないなものがないまま突き進む。

そんなわけで、まだ「全体像」を捉えられた気になれない。もっと「量」をこなす必要はあるのだなあ。今年は、もう少し濃い目なペースで週に1枚ぐらいずつ聴いてみようかしらん。ジャズのヒアリングマラソンみたく。
(JAZZ100本ノックとは)

小洒落たバーで婦女子を口説くBGM、それがぼくにとっての”JAZZ"だった。2年前、たまたまNYでチック・コリアのライブを聴く機会があった。時に緊迫感のあるフレーズに「おお!かっちょえー!」と思うときもあったのだが、正直に言って、全体的には難解で、理解しがたい音楽、と感じたのだった。寒風のなかで1時間並ばされたこともあって(くそお、Blue noteめ)、暖房の効いたライブハウスでは、時に眠気に襲われたりもした。そのときは、うーん、やっぱ、わかんねえよ、JAZZ、と思っただけであった。
その後、めげずにときどきJAZZの名盤をツマミ聴きしていたら、そのうち、少しだけJAZZの楽しさがわかり始めた(ような気がした)。浪曲とか、カントリーとか、元ちとせとか、容易に理解できない音楽ジャンルは他にもたくさんあるけれども、「JAZZがわからない」というのは、なんだか「ジンセイを損している」感がとても強い。チック・コリアで寝た、だなんて、やっぱりどうにももったいない。せっかく「NYでの出会い」があったのに。むぅ。あんまり悔しいので、毎週1枚ずつ、約2年間をかけて、JAZZの名盤100枚を聴いてみようと思う。100枚聴いて聴いて聴きたおして、それでもわかんないんだったら、もうオレの耳じゃあどうにもならないと諦められる、と思う。そんなわけで、JAZZ100本ノックのスタートである。
ちなみに、この100本ノックは、鬼コーチ「板前」さん、師匠「さとなお」さんの指導により行うので、2年たってもぼくが、ろくにJAZZがわかんようであれば、両氏のせいである。